10/13に開催された第2回「お悩み"あんちょこ"相談会 」質問3
【質問】日音さん(神奈川県、30代、広告制作)
「コロナを機に私の会社は基本的にリモートワークになりました。でこのチャンスに勉強をしようと思ったのですが、逆にダラダラと仕事を続けてしまって上手く自分の時間を作れずにいます。自分のための時間ってどうやったら作れますか?」
■楽しい時間は「自分の時間」
加藤:ここのところ減ってきて、今まさに悩んでいるんですよ。あくまで自分の例で云うと、「最低ここまでやろう」というのと、「できればここまでやりたいという二つの線を持っていて、その間を行ったり来たりしてます。
その「最低ここまでやろう」も、本当は日割りで「毎日これだけやりたい」という目標があるのですが、できないので、三~四日単位でみるようにしています。
角田:そうか、計測期間を伸ばすんだ。
加藤:そう。自分がどこまで課題を進めることができたか、ちゃんと正の字を書いて数えてるのね。本当は五回やりたかったけれど今日は二回しかできない、みたいなことがあったら、「明日八回やろう」じゃなくて「明日六回やろう」みたいに、ちょっとずつ借金を返していく感じで時間を作っていますね。角田くんはどうしてますか?
角田:僕は四象限に分けて考えてる。「自分の時間⇔他人の時間」という軸と「楽しい時間⇔楽しくない時間」という軸で四象限ができるよね。その上で、「自分の時間でも他人の時間でも、楽しかったらいいんじゃないかな」と思っていてさ。
だから僕は全部「自分の時間」だと思ってるんだよ。「自分with他人」の場合と「自分only」の場合しかないと思ってるわけ。
そもそも「自分の時間」って、なんで欲しいんだろうか。この質問者の方は「自分の時間がとれない」と言っていて、その前提には「他人の時間」があるわけだけど、本当は「自分⇔他人」の軸じゃなくて、無意識に「楽しい時間⇔楽しくない時間」で分けてるんじゃないかな。
加藤:角田くん、しょっちゅう映画を観てるじゃない? 映画観るって、時間のユニットとして、二時間の映画に行き帰りの時間も含めて、三時間パックの時間が必要なものだけど、一日のうち三時間を割くって、社会人にとっては結構なことですよね。そこらへんの物事の優先順位付けや辻褄合わせは、どうやってるわけ??
角田:言ってしまえば、辻褄が合わなくなったから会社を辞めちゃったのかもしれない。
会社を辞めちゃったから、「今どうしても観たい映画だけど、時間が無いから観に行かない」はない。どうしても観たい映画は、絶対行く。
「映画を観る」の中にも「自分が観たいから観る映画」の他に、週刊プレイボーイで映画の連載をしてることもあって「仕事で観る映画」もある。それはもしかしたら「自分の時間ではない」と定義されちゃうこともあるかもしれないけれど、インタビューの時に相手の作った作品を観てないでインタビューやっても面白くないから、苦痛でもなんでもないんだよね。
■結局、家では勉強できないから
加藤:電車移動の間みたいな隙間時間ではできない勉強、ってやっぱりあるよねぇ。最近はカフェとかで勉強してから家に帰る人も多いよね。昼間のカフェは仕事してる人が多いけど、夕方以降は勉強してる人が多い。ご自宅だと誘惑が多いから勉強できないんだろうね。
角田:この質問者の方は基本リモートワークということだけど、ある意味ずっと家にいるわけだから、そこが実はやりにくいのかもね。
今、海の街に構えてるオフィスにいて、今日も東京から車で来たんだけど、大学院の授業の録音を聞きながら運転して来たんだ。それが昼間の授業時間に聞くより頭に入るんだよ。車移動の時間を勉強にしているところがやっぱりある。僕が電車移動をしない理由もそれで、自分の車の中なら音読できるじゃんか。
加藤:なるほどね。カフェのコーヒー代の代わりに、車のガソリン代と駐車代を払ってる計算なのね。ながら時間の「○○しながら」の○○に相当する部分は、意外に勉強時間にも使えるかもしれないわけか。車に乗るのもそうだし、電車一駅分歩くのも、ぶつぶつ英語を音読しながら歩けるわけだし。
角田:車のもう一つのいい点は、寝ないことなんだよ。運転しながら寝たら死んじゃうから。
加藤:たしかに。自宅はその辺り危ないですね。個人的にはやっぱりベッドの近くはやばいなあ。
角田:加藤君はすぐ寝るよね。僕はタクシーでも寝ちゃうし電車でも寝ちゃう。ロケバスでも寝ちゃうから、他のスタッフがロケバスで移動する時にも、僕は自分の車で行くことにしてるんだ。名古屋や大阪ぐらいだったら車で行っちゃうもん。
加藤:なるほどそこまでやりますか。勉強時間の作り方はいろいろあるんだね。リモートワークだと、家でご飯を食べると外食より安く済むこともあるだろうから、その分をカフェ代に使ってもいいのかもね。
■勉強するにも「道具」が大切
加藤:「勉強しよう」と思い立つと、いきなりいっぱい勉強したくなるじゃないですか。
角田:はいはい。
加藤:だからわざと、一度に上がる階段を薄くするようなイメージで、初日にあまりやらないって方法もあるのよ。かとうなら「正の字を数える数を少なくする」みたいにしてさ。
角田:ああ、なるほど。
加藤:そうやってわざと「もうちょっとやりたいな」ぐらいから始めてみる方法もある。カフェで言えば、本当は二時間勉強したいけど、わざと48分で終わらせる、みたいな。
実はいろんな工夫ってあるよね。例えば、この間買った卓上時計。アナログ時計の横にデジタル時計が着いていて、さらにストップウォッチ機能やらなんやら、時間を細切れにする機能がいっぱい付いてるのよ。勉強してるときに、小さい締め切りを作ることに特化してる時計。
自分のやる気だけに頼らずに、そういった道具の力を借りることも勉強における工夫のうちだと思うんだよね。
角田:自分が勉強しやすい環境を作るんだね。それは実際そうだよ。
去年、修士論文を書くのがすごく辛かったんだけど、そう言えば僕はその時に「道具の力」を借りたな。中でも「究極の道具」は、僕が今いるこの海の街のスタジオだったんだ。
加藤:かっこいいねえ。なるほど。
角田:修士論文を書く一ヶ月前に引っ越したんだけど、そこには「東京から離れたところに籠れば書くだろう」みたいな打算もあった。「究極のカフェ」を用意したら書けたところはあるなあ。東京から海の街まで、移動の時間を長くすることで、そこを勉強に充ててるところもあるし。
加藤:一口に道具と云っても、角田くんのスタジオみたいにお金のかかる道具も、かとうの正の字みたいに金のかからない道具も、両方あるんだよね。人それぞれ自分に合った方法は違うだろうから、質問者の方もいろいろと探せるといいですね。
(構成:甲斐荘秀生)
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