お悩み④「半分のリソースでアウトプットの精度を下げない方法は?」「一番かっこいい男性は?

9/7に開催された第1回「お悩み"あんちょこ"相談会 」質問4、5

【質問1】「私は現在育休中で、半年後に職場復帰を予定しています。出産前は終電まで働くことが多かったのですが、復帰後は以前のような時間の使い方はできそうにありません。半分のリソースでアウトプットの精度を下げない方法があれば教えてください」


■仕事は自分ひとりでするものじゃない

角田:この質問には色々な観点がありますね。僕はまず、この方は出産前は終電まで働いていたとのことですが、復帰後は働かなくていいんじゃないの?と究極的には思っています。

 お子さんがいない時のようなパフォーマンスで仕事をすることが難しい人が、お子さんを育てながらでも活躍できる場所をどのように作るのかがやっぱり大事なことだと思うんですよね。だから総論で言うと「やれる範囲で頑張る」でいいんじゃないでしょうか?

加藤:何年か前に、ある会社の方から聞いた話なんだけど、その会社さんでもやっぱり似たような話があったらしいんだよね。「子育てをしているママ社員の生産性は下がるのかどうか」みたいなさ。

 それで、その会社さんの結論は「そのままですでに十分な仕事上必要な精度はあるのだ」だったと聞きました。

 要は、子育て前の仕事で目標としていた精度があったとして、もちろん精度を高めること自体は悪いことではないんだけど、実は「そこまで高くなくても十分価値があった」という結論に達したんだって。そもそもが求めすぎだったのだと。

角田:それは「周りの問題」ということ?

加藤:きっと、周りにヒアリングして「そもそも十分だよ」という話になったんだろうね。育休だから下がってもいいということじゃなくて、元々設定してるレベルが高すぎたんじゃないか、という理解。

角田:「元々が200だったんだから、100でいいじゃん」ってことか。

加藤:そうそう。その方いわく、「子育て」という意識になるとまた変にハードルが上がってしまって、自分で自分の首を絞めている……みたいなことを云っていて、「確かに!」と思った次第。

角田:「周りの認識を変える」という話に関連させると、『仕事人生あんちょこ辞典』の「つるむ」の項目でも少し言ってるんだけど、僕は自分にきた仕事を自分でやらないで、人にあげちゃうんです。そうやっていくと、受け取った人が恩を感じてくれるから、次にその人から仕事が来ることもあるんだ。

 その考え方を、質問者の方がどのように自分の職業に合わせられるかは分からないけれど、「自分のできることは自分でやる、自分のできないことは他の人に振る」から一歩先に進んで、「相手の手柄にしてあげる」ような感じで仕事をシェアできないか?と考えてみるのはどうでしょうか。

加藤:なるほど、それはあるね。

角田:「半分のリソース」というのはあくまで自分のリソースが半分になっただけで、シェアできる相手が2人、3人といたら、その分リソースも増えるじゃないですか。そう考えた総体でのアウトプットの精度を上げていく、という考え方ができるんじゃないか。

 その前提としては、気心まで含めた相手との関係がないとだめだから、「コロナ禍でのZoom会議だけで果たしてそれが構築できるのか」とか、「やっぱり直接会って飲みに行かないと関係が築けないんじゃないか」とか、そういうことも問題になるとは思うんだけど。

 話を戻すと、自分1人でやるという考えから離れて、皆とシェアできる環境を作るという観点になるしかないのではないかな。


■「モデルチェンジ」ではなく「マイナーチェンジ」

加藤:時に、初版で誤字脱字が全くない本って、まあないですよね。

角田:ないない。

加藤:変な話、それでも商品としては一応成り立っていて、それに価値を感じてくれる人もいるわけです。書籍として、大きなところでの価値は変わらないというか。

 それは他の業種業態でも同様で、よくも悪くも、初めのバージョンから少しずつ更新していくわけじゃないですか。形のある製品だけじゃなくて、サービスもそうですよね。

 だから、もちろん理想上の100%があったとしても、その100まで達していなくてもお客さまは価値を立派に感じてくれていて、それに対価を払ってくれていることのほうが、実は多いんじゃないのかな。それはBtoBにせよBtoCにせよ。

角田:おお、なるほどね。

加藤:だから極端だけど「半分で丁度いい」ぐらいなこともあるかもよ、と思うわけですよ。

 でも、じゃあずっとそのままでいいかといったら、それは改良していけばいいわけで。クルマなんかでも、毎年どこかしら変えてバージョンアップしていたりする。そういうマイナーチェンジでいいんじゃないかと。

角田:外車って「フルモデルチェンジ」ってしないもんね。

加藤:中古車市場でも、「何年式の●●(車種名)」って表記があるね。

角田:はいはい。「2020年式と2021年式では、あのバルブが違う」程度の違いだよね。

加藤:そういう「小さな違い」、『仕事人生あんちょこ辞典』では「微差」と呼んでるやつだよね。ベースがちゃんとしていれば、そこからのバージョンアップは微差でいいんじゃないの?という考え方もあると思うな。

角田:なるほどね。というわけで、次の質問に行ってみましょう。


【質問2】「今0歳の男子を育てています。お二人がこれまで仕事で出会った一番かっこいい男性について教えてください。その上で、どういう育ち方をするとそういう男性に成長できると思われるかを教えてください」



加藤:育児のご質問が続きましたね。

角田:僕はね、一番かっこいい人は明石家さんまさんです。

加藤:おお。どの辺がかっこいいんですか?

角田:まず、普通にかっこいいです。かっこいいおじさんってそんなにいないじゃないですか。見た目も、雰囲気も普通にかっこいいというのが、最初の印象でしたね。

 ふたつ目は、僕は、今まで出会った人の中で明石家さんまさんが一番頭がいいと思ってるんですよ。

『仕事人生あんちょこ辞典』の「学歴」の項目でも「頭がいいとは何か」ということを言っていて、加藤君には否定されてるんで、その辺りぜひこの本を読んでほしいんですけれど、僕にとっての「頭がいい」ことの定義とは、「説明量の少なさ」なんです。

 頭がそんなによくない人って、伝えようとしてすごい説明しようとするじゃないですか。

加藤:うんうん。

角田:ところが頭がいい人って、説明量が少なくても理解させるんですね。そして一番説明量が少ないものって、たったの4文字だと思うんです。

 それは、「まかせた」。

「お前にまかせた」と言っただけで仕事があがってくるというのが、「仕事ができる」というか「頭がいい」というか、「かっこいい」だと思うわけです。

加藤:なるほどね。

角田:そこでさんまさんの場合は、その「まかせた」まで言わなくても、もうやってきちゃうんです。

加藤:まかせる前に動かしてしまうんだ。

角田:「この人は、なんでまかせる前にこちらの意図が分かるんだろう?」みたいなことがよくあるんですよ。

 これは一番よく話しているエピソードなんですが、番組の企画書をさんまさんに出したら、パラパラってめくって、もう読まないんです。で、企画書をパっと置いて、タバコとかをつけながら「あの部分どうなっとるんや?」って聞くんですよ。

「ちょっと待ってください。企画書を見てないのに、なんで「あの部分」があることが分かるんですか?」って聞いたら、

「お前らの考えることなんか大体そんなもんや」って言うんだ。それで「怖ーっ」て思ったんですよ、この獣のような洞察力が。

 だからそれからというもの、「かっこいい人」とは「洞察力がある人」だという考えが僕の中にはずっとあるんです。

加藤:それは天性のものなの?

角田:『仕事人生あんちょこ辞典』の「学歴」の項目にもありますが、それってちょっと野性的なものだと思ってるわけです。その野性で生きられる力がない僕みたいな人が、頑張って勉強して東大とかに行ってるのかな、って思っててさ。だから、「洞察力」と「学力」って相反するものなんじゃないかなってちょっと思ってるんだ。両方持ってる人も当然いると思うけどね。

 だから質問者の方に答えると、この洞察力ってやっぱり天然のものだと思うので、まずお子さんに洞察力があるかを見極める……まあ、何歳で見極められるかは分からないけど。

 で、「無いな」と思ったら、洞察力じゃないものを身につけてあげたほうがいい。それは例えば学力だったり、脚力だったり、字が上手いことだったり、なんなら人間が優しいということでもいいんだけど。それくらいのつもりでいいんじゃないかな。

逆に、「こいつ、洞察力あるな」と思った時、その洞察力って今の教育システムでは結構つぶされてくと思うんです。

加藤:それはなんでなの?

角田:社会ってやっぱり、そういう特出したものより、平準化していくものにどう育てるかってことになりがちじゃないですか。つまり「そんなことより勉強しろよ」となるのが社会なのかな、とか思うわけです。

 だから、なるべく「洞察力」を消さないように育てるのがいいんじゃないかと僕は思うんです。どうやって育てたらいいのかは分からないけど。

加藤:なるほど。

角田:質問に戻って、加藤君にとって「一番かっこいい男性」って誰ですか?

加藤:六つかしいな、誰だろう……。ええと、西村しのぶ先生のコミック(『美紅・舞子』『RUSH』)に出てくる「有末」と「ジョーンズ」ですね。どちらかと云うと、なんでも受け止めちゃうタイプの、ジョーンズのほうが好きかな。まあそして飄飄としている。めちゃくちゃ憧れましたね。

角田:なるほど。自分には無いものだからね。

(構成:甲斐荘秀生)



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